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東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]

2025.05.14

胸の痛み(胸痛)には様々な原因があります。この記事では、それぞれの胸痛の原因や発症のメカニズム、東中野のクリニックでも対応している診断方法、治療方法について解説していきます。

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|はじめに
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|心臓由来の胸痛(循環器系の原因)
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|呼吸器由来の胸痛
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|消化器由来の胸痛
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|筋骨格系の胸痛
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|精神的要因による胸痛
東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|まとめ

 

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|はじめに

胸が痛い(胸痛)症状はさまざまな原因で起こり、その原因は心臓(循環器)系、呼吸器系、消化器系、筋骨格系、そして精神的要因に大別できます。

以下、それぞれの分類について主な疾患とその概要、症状発生のメカニズム、東中野のクリニックでも対応している診断法、治療法を解説します。

【参考】
胸痛・心臓が痛い

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|心臓由来の胸痛(循環器系の原因)

心臓や大血管の異常によって生じる胸痛には、狭心症、心筋梗塞、心膜炎、大動脈解離などがあります。

狭心症は心臓の冠動脈が狭くなり心筋への血流が不足することで発作的な胸の痛みを起こす疾患で、労作時に生じ安静で改善する安定狭心症、安静時にも痛む不安定狭心症、冠動脈のけいれんで起こる異型狭心症などのタイプがあります。

心筋梗塞は冠動脈が完全閉塞して心筋が壊死する状態で、激しい胸痛が長時間続きます。

心膜炎は心臓を包む膜(心膜)の炎症で、ウイルス感染などによって起こり、発熱を伴うこともあります。

大動脈解離は心臓から出る大動脈の壁が裂ける疾患で、「裂けるような」激痛が突然生じるのが特徴です。

症状発生のメカニズム

狭心症や心筋梗塞では、心筋の酸素不足(虚血)が痛みの原因です。

冠動脈の狭窄や閉塞により心筋細胞が酸素不足に陥ると、乳酸などの代謝産物が蓄積し神経を刺激して締め付けられるような胸痛を引き起こします。

心筋梗塞では虚血が長時間・重度になり心筋細胞が死ぬため痛みも強く、交感神経緊張による冷や汗や血圧低下など全身症状も現れます。

心膜炎では心膜の炎症と摩擦により鋭い刺すような痛みが起こります。

痛みは深呼吸や咳で悪化し(呼吸に伴い心膜がこすれるため)、身体を前かがみ(前傾)にすると和らぐという特徴があります。

大動脈解離では、大動脈壁の裂け目が進展する際に激痛が走り、この痛みはしばしば背中や腹部に放散します。

「胸を引き裂かれるような」激痛と表現され、しばしば血圧の左右差やショック症状を伴います。

診断法

心臓由来の胸痛が疑われる場合、クリニックでの迅速な診断が必要です。

まず心電図(ECG)検査で虚血性変化の有無を調べ、心筋梗塞であればST上昇などの所見が現れます。

さらに血液検査で心筋マーカー(トロポニンT/Iなど)の上昇を確認します。

急性心筋梗塞(ST上昇型)では心電図で典型的な変化が出ることが多いですが、心膜炎でも広範なST上昇が起こるため鑑別が必要です(心膜炎ではST上昇が凹凸の形で広範に現れ、心筋逸脱酵素は上昇しない点で梗塞と区別します)。

狭心症が疑われる場合は安静時の心電図で異常がなくても、運動負荷試験(心電図負荷検査)で虚血の誘発を確認することがあります。

また確定診断や重症度評価のため、冠動脈造影検査(カテーテル検査)や冠動脈CTが行われます。

心膜炎の診断には心電図所見に加えて心エコー検査が有用で、心嚢液の貯留があれば確認できます。

大動脈解離が疑われる場合は、胸部造影CTや経食道エコーですみやかに大動脈の状態を確認します。

いずれの場合も、緊急性が高い場合は鑑別のため並行して複数の検査を迅速に進めます。

治療法

循環器系の胸痛の治療は原因疾患ごとに異なりますが、各クリニックでは共通して速やかな対応が重要です。

狭心症の場合、安静にしてニトログリセリンの舌下投与で多くは症状が和らぎます。

慢性的な狭心症に対しては硝酸薬やβ遮断薬、カルシウム拮抗薬などの薬物療法が行われ、動脈硬化の危険因子を管理します。

また症状が強い場合や血管狭窄が重度の場合、経皮的冠動脈形成術(ステント治療)や冠動脈バイパス手術によって血流改善を図ります。

急性心筋梗塞では一刻も早い冠動脈の再開通が必要となるため、救急でカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション)や血栓溶解療法が実施されます。

心膜炎は多くの場合ウイルス性で自然軽快するため、治療の中心は安静と対症療法です。

具体的には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与で痛みや炎症を抑え経過をみます。

NSAIDsで症状が取れない場合や再発例では、コルヒチンの併用が推奨されます。

心嚢液貯留が多量で心タンポナーデを起こしている場合には心嚢ドレナージ(心膜穿刺液抜去)が必要です。

大動脈解離は分類により対応が異なります。

上行大動脈に解離が及ぶStanford A型では緊急手術で裂けた大動脈を人工血管に置換する治療が行われます。

下行大動脈のみのStanford B型では血圧管理など内科的治療で経過をみる場合もありますが、改善しない場合や臓器虚血の合併時にはステントグラフト内挿術や外科手術が検討されます。

心臓由来の胸痛は再発予防も重要で、生活習慣の改善(食事・運動療法)や動脈硬化危険因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)のコントロールが長期的な治療の柱となります。

【参考】
胸痛・心臓が痛い

心膜炎:原因は?症状は?検査や治療は?命に関わるの?入院は必要なの?

気になる胸痛の原因とは?病気ごとの症状や受診のポイントもあわせて解説!

心膜炎

胸痛

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|呼吸器由来の胸痛

肺や胸膜の異常による胸痛には、肺炎(とくに胸膜炎を伴う場合)、気胸、肺塞栓症(肺血栓塞栓症)などがあります。

気胸は肺に穴があいて空気が漏れ、胸腔内に空気が溜まって肺がしぼむ病態で、「肺のパンク」とも呼ばれます。

10〜20代のやせ型の若い男性に多い自然気胸のほか、肺疾患に伴う続発性気胸もあります。

典型的な気胸では突然片側の胸に鋭い痛みを感じ、呼吸困難や咳嗽が出現します。

肺炎は細菌やウイルス、真菌などによる肺の感染症で、高熱や咳、膿性の痰、呼吸困難を呈します。

通常、肺の実質(肺胞)が炎症を起こすときその自体は痛覚がないため痛みは感じませんが、炎症が胸膜に波及すると胸膜炎となり胸痛が生じます。

肺塞栓症(肺血栓塞栓症)は、深部静脈血栓など血の塊が肺動脈に詰まる病気で、長時間の座位などで生じるエコノミークラス症候群として知られます。

肺塞栓では急な呼吸困難、胸痛、動悸、咳、血痰などが起こり、重篤な場合はショックに陥ることもあります。

症状発生のメカニズム

気胸では、漏れ出た空気が胸膜を刺激することで胸膜痛(胸膜由来の鋭い痛み)が生じます。

痛みは深呼吸や咳、胸を捻る動作で増強し、肺がしぼむことで呼吸困難も引き起こされます。

肺炎そのものは肺組織の炎症のため痛みを感じませんが、胸膜炎を合併した肺炎では炎症が胸膜まで及ぶため呼吸や咳で痛む胸痛が起こります。

この痛みはしばしば鈍い痛みや刺すような痛みで、呼吸音の出るたびに胸膜がこすれ合うことで生じ、体位によっても変化することがあります。

肺塞栓症による胸痛は、塞栓の位置によってメカニズムが異なります。

末梢の肺動脈が詰まって肺組織が梗塞を起こした場合には、その部分の胸膜が刺激されて胸膜痛(吸気時に鋭く痛む痛み)が生じます。

一方、肺動脈主幹部に近い大きな塞栓では右心室への負荷が急激に高まるため、心筋虚血に似た胸部圧迫感や胸骨後部の痛みを感じることがあります。

いずれの場合も、肺塞栓症では突然の息切れと胸痛が主症状となり、症状出現時には他の緊急疾患(気胸、心筋梗塞など)との鑑別が必要です。

診断法

呼吸器由来の胸痛では、まずクリニックにて胸部X線写真を撮るのが有用です。

気胸が疑われる場合、聴診で患側の呼吸音が低下しており、胸部レントゲン撮影で肺が萎縮している(黒い無気肺野が広がる)所見を確認できます。

肺炎は胸部X線で肺野の浸潤影を認め、血液検査で白血球増加や炎症反応(CRP上昇)が見られます。

胸水貯留があれば側面像で胸膜線の挙上など胸水所見が確認できます。

原因微生物の同定のため、喀痰培養検査や迅速抗原検査を行うこともあります。肺塞栓症の診断には画像検査が必要です。

まず血液検査でD-ダイマー値を測定し、肺塞栓の可能性をスクリーニングします。

疑わしい場合は造影CT検査(肺動脈CTアンギオ)や肺換気・血流シンチグラフィで肺動脈の閉塞部位を確認します。

また、心エコーで右心負荷所見を調べたり、下肢静脈エコーで血栓の有無を検索することもあります。

重症例では動脈血ガス分析で低酸素血症や二酸化炭素低下(過換気)を呈し、心電図で洞頻脈やSI-QIII-TIIIパターン(肺塞栓に特徴的な所見)が見られることもあります。

ただし肺塞栓症は症状が非特異的な場合も多いため、臨床経過や危険因子の問診も含め総合的に判断します。

治療法

クリニックでは、原因となる呼吸器疾患に応じて治療を行います。

肺炎の場合、細菌性肺炎であれば適切な抗菌薬(抗生物質)投与が基本です。

入院して点滴抗生剤治療が必要な場合もありますが、軽症であれば外来で経口抗生剤と安静療養で改善することもあります。

胸膜炎を伴う肺炎では胸水が大量に貯留して呼吸困難が強い場合、胸腔ドレナージで胸水を排出する処置を行うことがあります。

ウイルス性肺炎には対症療法が中心ですが、インフルエンザ肺炎などでは抗ウイルス薬を投与します。

気胸の治療は気胸の程度と患者の症状によって異なります。

軽度の気胸で症状がほとんどない場合は、安静にして経過観察し、自然に漏れた空気が吸収され肺が膨らむのを待つこともあります。

中等度以上の気胸や呼吸困難を伴う場合には、入院の上で胸にドレーン(細い管)を挿入して持続的に空気を抜く胸腔ドレナージを行います。

胸腔ドレナージや安静で治療した場合でも約40%は再発するため、再発例や空気漏れが持続する場合には外科手術(胸腔鏡下手術による肺の破れた部分の縫合や胸膜癒着術)を検討します。

緊張性気胸(空気が漏れ続け胸腔内圧が上昇している状態)の際は緊急処置として太い針で胸腔内の減圧を即座に行い、その後胸管挿入を行います。

肺塞栓症の治療では、血栓による肺循環障害を速やかに改善させる必要があります。

抗凝固療法としてヘパリンや経口抗凝固薬の投与を開始し、新たな血栓形成と肺動脈の閉塞進展を防ぎます。

重症例(血圧低下を伴う大量肺塞栓症など)では血栓溶解療法(t-PAなどの投与)を行い、肺動脈の閉塞を溶解させます。

これでも効果不十分な場合や禁忌例では、カテーテルによる血栓除去術や外科的肺動脈血栓摘除術が検討されます。

呼吸管理も重要で、低酸素血症に対して酸素投与を行い、必要に応じ人工呼吸管理を行います。

予防のため、長時間のフライトや手術後には弾性ストッキングや早期離床で深部静脈血栓を防ぐ対策が推奨されます。

【参考】
​​気胸

胸の痛み

胸痛・心臓が痛い

肺血栓塞栓症(PTE)

胸膜炎

気になる胸痛の原因とは?病気ごとの症状や受診のポイントもあわせて解説!

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|消化器由来の胸痛

食道や胃の疾患でも胸痛が起こることがあります。

代表的なものに胃食道逆流症(GERD)や食道けいれん(食道の痙攣)があります。

胃食道逆流症は胃酸が食道へ逆流することで食道粘膜がただれたり炎症を起こす疾患で、典型症状は胸焼けですが、胸部や喉の違和感や痛みを訴えることもあります。

食道は胸部を通る臓器であるため、胃酸の逆流により胸痛や背部痛、心窩部痛が生じることがあります。

ときに痛みが強い場合は心臓の病気と紛らわしいことがあります。

食道痙攣は食道の運動機能異常のひとつで、食道の筋肉が非効果的に過剰収縮を起こすために胸痛や嚥下困難を来す病気です。

原因ははっきり分かっておらず、びまん性食道痙攣などのタイプがあります。

症状として胸骨の下あたりの締め付けられるような痛みや、飲み込むときの違和感・痛みが発作的に起こります。

この痛みは狭心症の痛みと非常によく似ており、運動中にも起こることがあるため心臓由来かどうかの鑑別が難しいことがあります。

症状発生のメカニズム

胃食道逆流症では胃酸による食道粘膜の刺激が胸部症状の原因です。

食道粘膜は酸に弱いため、逆流した胃酸でただれたり炎症を起こすと胸骨後ろの灼熱感(胸焼け)や痛みが生じます。

特に食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすく、胸痛や胸焼けが悪化します。

痛みはみぞおちから胸にかけて感じられ、しばしば焼けるような痛みと表現されます。

食道けいれんによる胸痛は、食道の異常収縮そのものが痛覚を引き起こすと考えられています。

食道内圧が急激に高まることで胸骨後方に強い圧迫感や締め付けられるような痛みを感じます。

時には飲食物の嚥下に伴って誘発され、飲み込んだものが正常に胃に送られないためにつかえる感じ(嚥下困難)を伴うこともあります。

一方、食道痙攣の痛みが運動時に出現し狭心症と紛らわしいこともあるなど、詳しいメカニズムは完全には解明されていません。

消化器由来の胸痛は多くが非心臓性胸痛と呼ばれ、実際には心臓に異常がないにもかかわらず胸痛を呈する状態ですが、その背景には食道の知覚過敏や運動異常、胃酸過多などが関与します。

診断法

消化器疾患による胸痛が疑われる場合でも、まずはクリニックにて心臓由来の痛みでないことを確認することが大切です。

特に食道痙攣は症状が狭心症と酷似するため、心電図や心エコー、負荷試験などで狭心症・心筋梗塞の可能性を除外する検査が行われます。

心臓に異常がないと確認された後、消化器系の検査を進めます。胃食道逆流症の診断では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で食道粘膜を直接観察し、びらんや潰瘍など炎症の有無を確認します。

内視鏡所見で食道炎があれば逆流性食道炎と診断できますし、内視鏡で異常がなくても症状から逆流が疑われれば非びらん性胃食道逆流症(NERD)と判断されます。

食道の運動機能検査としては、食道造影検査(バリウム造影)で蠕動運動の乱れやコルク栓抜き状の食道形態を確認したり、食道内圧検査(マノメトリー)で異常収縮のパターンを記録したりします。

びまん性食道痙攣では、造影で食道が蠕動不規則になっている所見が得られることがあります。

さらにクリニックによっては、胸痛の誘因と食事との関連を調べるため24時間食道内pHモニタリングや食道シンチグラフィを行う場合もあります。

消化器由来の胸痛は他の疾患との鑑別が難しいケースも多いため、必要に応じてクリニックの複数の専門科(循環器内科・消化器内科)で評価し総合的に診断します。

治療法

胃食道逆流症に対しては、まず生活習慣の改善が重要です。

食後すぐに横にならない、暴飲暴食を避ける、就寝前の飲食を控える、肥満の是正や禁煙などがクリニックでも勧められます。

薬物療法の中心は胃酸分泌を抑える薬で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬の内服によって胃酸の逆流を減らし症状を改善します。

これらの薬物療法で多くの場合症状は軽快しますが、重症で薬が効かない逆流症では外科的治療(噴門部のNissen手術など抗逆流手術)を検討することもあります。

食道痙攣の治療は症状のコントロールが中心です。

発作時には硝酸薬(ニトログリセリン舌下など)やカルシウム拮抗薬の投与で食道平滑筋を弛緩させ、痛みを和らげることがあります。

これらの薬剤は狭心症治療薬でもあるため、心臓由来か否かに関わらず有効なケースがあります。

難治性の場合、内視鏡的にボツリヌストキシン(ボトックス)を食道下部括約筋に注射して痙攣を緩和させる治療法も報告されています。

まれに重症例では外科的または内視鏡的筋層切開術(食道の筋肉を一部切開して蠕動を改善させる手術)を行うこともあります。

逆流が痙攣の誘因となっている場合は、胃食道逆流症に準じた治療(酸分泌抑制や抗逆流対策)も併せて行います。

なお、消化器由来の胸痛は再発しやすい場合もあるため、長期的な生活指導(食事内容の工夫やストレスの軽減など)も重要です。

【参考】
胸痛・心臓が痛い

消化器内科の病気:胃食道逆流症(GERD)

食道けいれん

胃食道逆流症(GERD)

びまん性食道痙攣

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|筋骨格系の胸痛

胸壁(胸の筋肉・骨・神経)の異常が原因で生じる胸痛も多くみられます。

代表的なものは肋間神経痛筋肉痛(筋筋膜性の胸痛)肋骨骨折です。肋間神経痛は、肋骨に沿って走る肋間神経が何らかの刺激や圧迫を受けて生じる痛みです。

原因としては姿勢不良や筋肉の過緊張による神経圧迫、帯状疱疹ウイルスによる神経痛(肋間神経に沿った帯状疱疹)、脊椎の変形など様々ですが、検査で明らかな原因が見つからない場合もあります。

肋間神経痛の痛みは体動時や呼吸時に肋骨間が引き伸ばされることで増強し、鋭い痛みが肋骨に沿って走るのが特徴です。

胸部の筋肉痛は、肋骨周囲の筋や肋軟骨の炎症・疲労による胸痛です。

長時間の不自然な姿勢や重い物を持つ動作、激しい運動などで胸の筋肉に負荷がかかると、筋繊維に微小な損傷や炎症が起こり痛みを感じます。

筋肉痛による胸痛は胸の特定の場所に局所的な痛みとして現れ、体をひねったり押さえたりすると痛むのが特徴です。

肋骨骨折は胸部の外傷(転倒や交通事故、強い咳など)で肋骨にひびや骨折が入った状態です。

肋骨骨折そのものは整形外科領域ですが、複数肋骨の骨折では内臓損傷を伴うこともあるため注意が必要です。

典型的には胸部の強い痛みと圧痛、皮下出血や腫れが見られ、深呼吸や咳・くしゃみで痛みが一段と増します。

骨折部を押すと強い痛みが走り、骨片が動くときに軋轢音を感じることもあります。

症状発生のメカニズム

肋間神経痛では、肋間神経の刺激が痛みの直接原因です。

肋間神経は脊髄から出て肋骨の下縁に沿って走行していますが、その神経が圧迫・炎症・ウイルス感染などでダメージを受けると神経痛(鋭い痛みや焼けるような痛み)が起こります。

呼吸や咳で胸郭が動くたびに神経が伸展されるため痛みが誘発・増強し、深呼吸や咳、大声を出すことでも痛みが強まるのが典型です。

帯状疱疹が原因の場合は皮膚に水ぶくれが帯状に出現し神経痛が数週間持続します。

筋肉痛による胸痛は、筋繊維の微小な損傷や筋肉に溜まった乳酸などの物質が筋膜や神経終末を刺激することで生じます。

過度に使われた筋肉は硬直し、周囲組織を引っ張って痛みを感じさせます。

また肋軟骨と胸骨の接合部が炎症を起こす「肋軟骨炎(Tietze症候群)」でも局所の圧痛と胸痛がみられます。

肋骨骨折では、折れた骨の断端が呼吸や体動のたびに動いて周囲の組織や胸膜を刺激するため鋭い痛みが発生します。

深呼吸時に胸が痛むのは、胸郭が膨らむ際に骨折部位が動いてしまうためです。

このため骨折後は痛みのために深い呼吸を避けて浅い呼吸になりがちです(その結果、肺の換気が不十分になり肺炎を起こしやすくなります)。

診断法

筋骨格系の胸痛は、クリニックでの身体診察が重要です。

まず、患部を手で押さえると痛みが再現または増強するか確認します。

心臓や肺が原因の痛みでは胸を押しても痛みは変わらないのに対し、筋や骨の痛みは圧迫で誘発されることが多いです。

肋間神経痛では肋骨に沿った圧痛や知覚過敏がみられる場合があります。

帯状疱疹が疑われる場合は痛みの出ている皮膚領域に発赤や水疱がないか観察します(発疹が出る前の段階では診断が難しいこともあります)。

筋肉痛の場合は、痛みの部位に局所的な筋肉の圧痛硬結を触れることがあります。

肋骨骨折が疑われるときは、胸部X線検査で骨折線の有無を確認します。

ただし、肋骨骨折は部位によってはX線で見えにくいこともあり(肋軟骨部分の骨折や他の構造と重なる部位など)、必要に応じて超音波検査やCT検査で詳しく調べることもあります。

肋骨を複数折っている場合や肺の状態を把握する目的で、X線で確認後にCT検査を追加することもあります。

また、痛みの範囲が広かったり神経学的所見がある場合は脊椎のX線やMRIを撮影し、脊椎の変形や椎間板ヘルニアがないか検査することもあります。

筋骨格系の痛みと他の内臓痛が両方あるケースもありますので、クリニックでは必要に応じ心電図や胸部画像で内臓疾患もチェックして総合的に診断されます。

治療法

筋骨格系の胸痛は、保存的治療で改善することがほとんどです。

肋間神経痛に対しては、痛みを和らげる薬物療法と安静が基本です。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの鎮痛薬の内服、湿布や鎮痛消炎ジェルの外用で様子を見ます。

痛みが強い場合には肋間神経ブロック(局所麻酔剤を肋間神経周囲に注射)を行うと即効性があります。

また帯状疱疹が原因の場合には、抗ウイルス薬(アシクロビルなど)の内服やビタミンB12製剤の投与を行い、神経の治癒を促します。

胸部の筋肉痛についても、基本は安静と鎮痛薬の投与です。

重いものを持つなど痛みを悪化させる動作を避け、痛む部位の筋肉を温めて血流を良くすると回復が早まります。

ストレッチやマッサージで筋緊張をほぐすのも有効です。

肋骨骨折では、骨折そのものを治す手術は通常不要です。

肋骨骨折の治療は主に痛みの管理で、骨癒合は自然経過に任せます。

具体的には、鎮痛薬の内服や肋骨周囲への神経ブロックで痛みを和らげます。

痛みが中等度以上の場合、バストバンドやさらしで胸を圧迫固定することもあります。

固定帯で胸郭をある程度動かないようにすると痛みは軽減しますが、長期間の固定は肺合併症を起こしやすいため、患者には深呼吸や咳を適度に行うよう指導します。

医師から1時間ごとに意識して深呼吸・咳嗽するように指示されることもあります(これにより肺に空気を入れて肺炎予防を図ります)。

肋骨骨折は通常6週間ほどで自然に骨が付き痛みも消失していきます。

ただし、強い外力で多数の肋骨骨折や肺損傷を伴う場合(フレイルチェストなど)は胸部外科で骨固定や人工呼吸管理などの集中的治療が必要です。

筋骨格系の胸痛は再発することもあるため、普段から姿勢を正す、適度に運動して筋肉を柔軟に保つなどの予防策も大切です。

【参考】
胸痛・心臓が痛い

胸の痛み

肋骨骨折

呼吸時痛、胸痛(肋骨骨折)

肋骨骨折

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|精神的要因による胸痛

心臓や肺に異常がないにもかかわらず、ストレスや不安によって胸痛が生じる場合があります。

これを一般に心因性胸痛(非心臓性胸痛の一部)と呼びます。

代表的なものに心臓神経症パニック障害があります。

心臓神経症は、検査で心臓に問題がないのに「心臓が痛む」「胸が締め付けられる」などの症状を訴える状態です。

精神的なストレスがかかったときに動悸、息切れ、胸の痛みなどが起こり、自分は心臓病ではないかという強い不安にとらわれます。

しかし実際の心電図や血液検査では異常が認められず、医師から「異常なし」と告げられても本人は納得できないことが多いのが特徴です。

パニック障害は、不安発作によりさまざまな身体症状が突然出現する疾患で、その発作時に激しい胸部不快感や胸痛を感じることがあります。

パニック発作では胸痛のほかに、動悸、息が詰まる感じ(呼吸困難感)、めまい、吐き気、発汗などが一気に出現し、死ぬのではないかという恐怖に襲われます。

発作は通常数分~30分程度でおさまりますが、再び発作が起こるのではという予期不安に悩まされるようになります。

症状発生のメカニズム

精神的要因による胸痛は、自律神経の働きと深く関係しています。

強い不安や緊張が生じると交感神経が過度に刺激され、心拍数の増加や呼吸数の増加(過換気)が起こります。

過呼吸になると血液中の二酸化炭素が低下し、これによって胸部の不快感や手足のしびれなどが誘発されます。

過呼吸そのものが胸の痛みや締め付け感を生むこともあります。

また不安に伴い胸の筋肉が緊張するため、胸壁の圧迫感や鋭い痛みを感じることもあります。

パニック発作ではこうした自律神経症状が急激に極度に達するため、息苦しさに加え胸が締め付けられるような痛み・圧迫感を訴えることがあります。

心臓神経症の患者では、過去の心臓症状に対する恐怖や現在のストレスが身体症状に転換され、胸痛として知覚されていると考えられます。

いずれにせよ、精神的要因の胸痛では身体の構造的な損傷はないため、検査上の異常所見は基本的に見られません。

ただし慢性的な不安状態は自律神経のバランスを乱し、胃酸分泌の増加(逆流悪化)や過敏性腸症候群の誘発などを通じて二次的に胸部症状を悪化させることもあります。

診断法

心因性の胸痛は、クリニックにて除外診断が実施されます。

まずは詳しい検査(心電図、心エコー、X線、血液検査など)で心臓・肺・消化器など他の器質的疾患がないことを確認します。

それらがすべて正常である場合に、初めて心因性の可能性を検討します。

心臓神経症が疑われる場合、患者への問診で生活上のストレスや不安の有無を尋ねます。

発作的な動悸や過呼吸、冷や汗などがストレス状況で誘発されている場合、心因的要因が示唆されます。

パニック障害の診断は精神科の領域ですが、診断基準としては予期しないパニック発作が繰り返し起こり、1ヶ月以上にわたり「また発作が起きるのでは」という持続的な不安や回避行動が見られることなどがあります。

心臓に異常がないのに激しい胸痛発作を繰り返す場合にはパニック障害を念頭に置き、精神科医による評価を受けることが望ましいです。

また甲状腺機能亢進症など不安症状を誘発しうる身体疾患が隠れていないか血液検査でチェックすることもあります。

鑑別すべきは、微小血管狭心症(心臓の細い血管の障害で心電図に出にくい狭心症)や冠れん縮性狭心症(異型狭心症)などです。

これらは器質的検査で異常が捉えにくく、ストレスで悪化することもあるため見逃さないよう注意します。

治療法

心因性胸痛の治療では、不安やストレスの軽減が第一です。

心臓神経症の場合、まず患者に対して「心臓に問題はない」ことを丁寧に説明し安心してもらうことが重要です。

症状そのものを和らげるために、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)の頓用が有効なことがあります。

また漢方薬では、半夏厚朴湯などが効果を示す場合があります。

根本的には不安障害の一種と捉えて精神療法カウンセリングを行い、ストレス対処能力を高めていきます。

パニック障害に対しては、精神科での標準的な治療として抗うつ薬(SSRIなど)による長期的な不安のコントロールと、認知行動療法によるパニック発作への対処訓練が行われます。

抗うつ薬はセロトニン神経系を調整し不安発作を起こりにくくする効果があり、抗不安薬は即効性で発作時の症状を緩和します。

認知行動療法では過呼吸になりそうな際の呼吸法(紙袋呼吸など)を身につけたり、「発作が起きても死なない」という正しい知識を植え付けて恐怖心を和らげます。

生活面では十分な睡眠をとり、過度なカフェインやアルコールを避けることがクリニックでも推奨されます。

適度な運動やリラクゼーション法(深呼吸、ヨガ等)も自律神経を安定させるのに有用です。

精神的要因による胸痛は再発しやすいため、長期的にはストレスの原因を減らすライフスタイルの見直しや、必要に応じてクリニックでの継続治療を行っていきます。

症状が続く場合でも、命に関わる病気ではないことをクリニックの主治医と確認しながら日常生活で過度に不安を感じないようにすることも大切です。

【参考】
胸の痛み

パニック発作とパニック症

不安症の概要

逆流性食道炎の症状とは?気になる原因と治療法

胸痛

パニック障害の症状・診断・治療

東中野のクリニックで胸痛の診療を受けたい方へ[胸痛の原因と各疾患のメカニズム・診断・治療]|まとめ

胸痛の原因と対処については、以下にリンクした循環器内科・呼吸器内科・消化器内科など各専門領域の医療サイトやMSDマニュアル等を参照し最新情報をまとめました。

胸痛は原因が多岐にわたるため、症状の性状や随伴症状、誘因などから、クリニックにて総合的な判断をしてもらう必要があります。

不安な胸の痛みがある場合は自己判断せず東中野の専門医を受診し、適切な検査・診断をクリニックで受けることが重要です。

【参考文献】
kitakami-harukaze-clinic.com

premedi.co.jpkanemura-clinic.com

msdmanuals.com

msdmanuals.com

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